東京ユニオン 早稲田大学支部(早稲田大学の教職員で結成)

早稲田大学が透明性のある職場となるようにがんばります

原告 労働組合の意見陳述

第2回の裁判期日は10月17日(木)11時

地裁709号法廷にて開催されます。

 

傍聴支援をお願いいたします。

 

下記は、第1回の裁判期日において原告労働組合が行った意見陳述です。

 

2019年8月22日

意見陳述書

労働組合東京ユニオン

執行委員長 渡辺秀雄

 

 私は原告である労働組合東京ユニオン執行委員長の渡辺秀雄です。

 労働組合東京ユニオンは雇用形態に関わらず、誰でも一人でも加入できる個人加盟の労働組合です。正社員のみならず、パート、契約、派遣などの非正規社員や管理職、外国人労働者などあらゆる労働者に門戸を開いています。40年前の結成時から無料の労働相談を広く行い仲間づくりを進めてきました。組合員の相互支援と団結の力で雇用を守り労働条件を改善し生活の向上のために活動を行っています。上部団体はナショナルセンター連合に加盟する全国コミュニティ―ユニオン連合会です。

 私は2007年に執行委員長に選出され現在に至っています。大学教職員も組織しており、早稲田大学の他、城西国際大学多摩大学に組合の支部があります。 

 原告である石井知章組合員が東京ユニオンに相談に訪れたのは2018年11月でした。相談の内容は、2016年4月に、早稲田大学アジア太平洋研究科専任教員の公募に応募、公募条件を十分に満たしているのに書類選考で落とされた。公募の公正性に疑義があり大学当局に何回要求しても選考過程や基準などが全く説明されない、というものでした。石井組合員が選考過程や落選理由の説明を求めることが私は当たり前で当然の要求と思いました。同時に大学当局に説明も求めても拒否され続け、研究者としての信用を棄損されている石井組合員の苦悩や怒りを感じ取ることができました。 

 2018年11月に、新たに東京ユニオン早稲田大学支部(岡山茂支部長、石井知章書記長)を結成し早稲田大学当局に団体交渉を申し入れました。議題は、公募での選考過程の説明や解明要求と早稲田大学で働く非常勤職員の労働条件改善に向けた組合活動も志向し組合活動の便宜供与を求めた議題も設定しました。労働組合として、議題の検討にあたり、使用者側の裁量で決定される採用一般の問題と異なり、募集要件があらかじめ具体的に設定されている「公募」の枠組みが前提になっている以上、公募での選考過程等の説明を求めることが、当然、団体交渉の議題になるものと信じて疑いませんでした。具体的な団体交渉の議題は(1)研究科専任教員採用人事内規の公表(2)公募手続きにおける評価、採用面接に至らなかった理由、評価の根拠資料、についてそれぞれ開示を求めたものです。(3)公募手続きへの前任者の関与の有無(4)公募から採用までの事後検証の有無、についても議題としました。 

 公募問題に関連する大学側の回答は、石井組合員は非常勤講師として採用されているが専任教員としての雇用契約ではないので専任教員の公募に関わる議題は義務的団体交渉の議題ではないという、団体交渉の拒否でした。大学が自ら提示した公募という枠組みに全く触れずに論理をすり替え、説明責任を放棄した団体交渉の拒否回答には労働組合として到底承服できず、憤りさえ覚えるものでした。

 強大な人事権を持つ使用者と比較し労働者は極めて弱い存在です。弱い存在の労働者が強い権限を持つ使用者の意のままにならず労働条件や処遇を改善するためには労働組合に結集して対等の交渉力をもつことが不可欠です。日本国憲法第28条及び労働組合法第6条は労働組合に対し労働基本権の中核的内容として団体交渉権を保障しています。また、団体交渉には、労使のコミュニケーションや意思疎通をはかり、労使自治に基づき職場において安定的な労使関係が実現されるという重要な役割があります。

 団体交渉なくして労働組合の存在はありえません。裁判所におかれましては、団体交渉権の持つ意義を十分に考慮され、本件につき公正な判断を下さるよう要望いたします。

以上